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著作権についての概要・後編。

著作権シリーズ3回目になります。

 

前回は、前編として「著作物とそうじゃないもの」を取り上げ、表現物が自由に扱って良いものかどうかの判断ができるようになりました。

著作権侵害で何が起きるのか」と「著作権で保護される権利」を考えていきます。

 

これを読めば、著作者として権利をうまく活用することができます。

言い換えると、著作物の利用者として下手なミスを避けられます。

 

 

☑前回のおさらい

サクッと前回のおさらいをします。

著作物とそうじゃないものの違いは次のような感じです。

著作物janai

そして、

著作物じゃないものは自由に使っていいよ

でもグレー領域もあるから気をつけてね

ということでした。

 

 


 

☑著作権侵害で何が起きるのか

他人の著作物を勝手に扱い、著作者から訴えられ、負けてしまうと著作権侵害になります。

著作権侵害について、気をつけたいのは著作権は基本的に親告罪だということ。

親告罪とは、被害者(著作者)が犯人(利用者)を訴えなければ裁かれないということ。

言い換えれば、警察や検察のチカラだけでは裁判が行われないということ。

 

さらに言い換えれば、第三者からみて著作権侵害にあたるような行為でも、被害者(著作者)が告訴しなければ、事実上の著作権侵害はないということです。

 

一つ例を出しましょう。

私が「ワンピース2」という麦わら帽子の主人公が世界の山賊王になる物語の漫画を出版したとします。

ご存知かと思いますが、これは週刊少年ジャンプ、尾田栄一郎先生の「ワンピース」のパクリです。

もし、尾田先生が私を見て見ぬふりしてくれれば裁判にもなりません。

 

この概念はめちゃくちゃ重要です。

日本における著作権のキモと言っても過言ではありません。

著作権は基本的には親告罪」覚えましょう。

 

 

さて、もし訴えられて、敗訴してしまったら。

著作権侵害をしたとして罪を償わなければならないなら、どうなるのでしょう?

 

「販売差し止め」「謝罪記事の掲載」「損害賠償」

このような民事上の請求が来ます。

販売差し止めで済めば良いですが、損害賠償があるとお金払わなくちゃいけないので大変ですね。

さらに、刑事訴訟も併せてできるのでヘタすれば、懲役や罰金を食らう可能性もあります。

 

 

 

実は場合によっては非親告罪(著作者の意志に関係なく、国が個人を訴えて、処罰できること)もあります。

映画館で映画を見れば上映前に「NO MORE 映画泥棒」のダンスが始まりますね?

そう、映画館にカメラを持って入り、映画を撮影したら映画泥棒として著作権侵害で処罰されます。

この場合、「最高で懲役10年または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方」です。

法人として映画泥棒した場合、罰金は最高3億円です。

 

ほかにも、著作者名を周知の名前に偽って頒布するなどしても「最高で懲役1年または100万円以下の罰金、あるいはその両方」となります。

「ワンピース2」を「尾田栄一郎」や「鳥山明」が書いたとして売ったら、売れちゃうでしょうから、そういうのを防ぎます。

 

違法ダウンロード刑罰化が2012年に成立し話題になりましたが、

これは、違法にアップロードされた著作物を違法だと知りながらダウンロードした場合に「最高で懲役2年または200万円以下の罰金、あるいはその両方」となります。

 

 

 

このように著作権には非親告罪もありますが、基本的には親告罪です。

親告罪ということは、被害者(著作者)の心一つで裁判沙汰になり得ますので、利用者としては「これをやったら著作者は迷惑か」「怒ってしまわないか」という間合いを意識して著作物の利用をしましょう

下手をすれば意外と人生を棒に振るような請求が来ることもありますので、やっぱり「知らない」では済まされないのです。

 

 

 

 


 

☑著作権で保護される権利

以下は著作権保有者(著作権者)の権利一覧(著作権の種類)です。

権利名称 内容 違法例
複製権 コピーや写真撮影、録音などによって著作物を複製できる権利 講演会の様子を講師に無断で録画した
演奏権・上演権 公に演奏したり上演できる権利 公のイベントで、作曲家・作詞家に無断でCDを流した
上映権 動画やパワーポイントを公に映すことができる権利 公のイベントで、制作者に無断で動画を流した
公衆送信権 著作物をネットへのアップロードやテレビ放送やメルマガに流すことができる権利 イラストを著作者に無断でブログに貼った
口述権 公に著作物を朗読するなどできる権利 公のイベントで、作家に無断で絵本の朗読を行なった
展示権 複製物でない美術品と未発表の写真の著作物を公に展示できる権利 彫刻家に無断で彫刻作品を展示した
頒布権 映画を複製することによって頒布できる権利 映画を無断でDVD化して配った
譲渡権 映画を除く著作物の原品または複製物を公衆に配布・販売できる権利 漫画を作家に無断で販売した
貸与権 映画を除く著作物の原品または複製物を公衆にレンタルすることを許可できる権利 CDを作曲家・作詞家に無断でレンタル店で貸出した
翻訳権・翻案権等 著作物を翻訳したり、改作・アレンジできる権利 盗作
二次的著作物の利用権 二次的著作物の原著作物の著作者は、二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の権利者と同等の権利を持てる権利 二次的著作物の権利者に了解は得たが、原著作物の権利者に無断で、複製した

補足します。

まず、表の紹介時に「著作権保有者(著作権者)の権利」と言いましだが、これは著作者=著作権者とは限らないため、このように紹介しました。

著作権には、著作権・著作人格権・著作隣接権の3パターンがありまして、

自分で作曲・作詞し、自分で歌った場合にはすべての権利を得ます。個人レベルではコレが通常。

 

簡単に説明すると、

著作権は、著作物に関わる権利。譲渡可能。(上の表)

著作人格権は、著作者に関わる権利。(下部で表を出します)

著作隣接権は、著作物を活用する者に関わる権利。(歌を歌う人やTVアニメを放送する放送事業者など)

 

著作権は譲渡できるというのが大事で、

ウェブクリエイターが企業さんに委託されてウェブサイトを作ったなら著作権を企業さんに帰属させることができるのです。

もちろん共同著作もイケる。共同著作の場合はウェブクリエイターも企業さんも同等の権利を持ちます。

こうして権利を持った著作権者は、表中の権利を行使できるのです。

なので、著作物を利用するには、まず著作権者が誰なのかを把握する必要があります。

一方でゼッタイに譲渡できないのが、著作人格権。(後述)

 

 

 

また、権利の内容として、「〇〇できる権利」という表現をしています。

「権利者のみが〇〇できる」を言い換えると、

権利者でなければ〇〇できない=権利者は他者へ〇〇することを禁止できる」ということになります。

 

 

 

次に、表中に「公に」という言葉が何度か出てきましたね。

これは「不特定」または「多数」に対する公開を示します。

不特定とは、名簿が無い人。

多数とは、50人以上くらい。

※だいたいのイメージですよ!専門家やケースによって異なるのでご注意ください。

 

演奏権・上演権の違法例の項で「公のイベントで、作曲家・作詞家に無断でCDを流した」とありますが、

たとえ3人の聴衆であろうと、路上ライブで著作権者に無断で演奏するのは違法なんです。

逆に言えば、身内だけの10人程度のイベントであれば、演奏・上演・上映・口述は自由にできます。

 

 

 

最後に、二次的著作物について。

二次的著作物とは、原著作物があって、その一部または全てを題材にした新たな著作物です。いわゆる原作もの

加藤文太郎を例に取りましょう。

加藤文太郎の生き様は著作物ではありませんが、

加藤文太郎の生き様を元に書かれた小説「孤高の人」は新田次郎さんの著作物です。

そして、小説「孤高の人」を原案として、漫画家の坂本眞一さんが漫画版「孤高の人」を描きました。

つまり、漫画版は二次的著作物にあたります。

もし漫画版「孤高の人」を原作としてアニメや映画化を行ないたいなら、坂本眞一さんやその出版社である集英社だけでなく、原著作物の著作権者・新田次郎さんの許可も得なければいけません。

 

ちなみに、これは完全に商業の話なので、坂本さんおよび集英社は新田次郎さんに許可を得た上で漫画化していますが、コミックマーケットなどで売られる同人誌は基本的に無許可で二次創作しています。

違法な創作活動ですが、オタク文化として立派な市場を切り開いているのは著作権者の寛大な心のおかげなんですね笑

 

 

 

あと、特に気にすべき権利をピックアップするなら、

複製権、演奏権・上演権・上映権・口述権、公衆送信権でしょうか。

ネット利用であれば、複製権と公衆送信権がうっかりハマってしまうツボになります。注意しましょう。

 

 

 

 

☑著作人格権で保護される権利

続いて著作人格権です。著作人格権者=著作者で、ゼッタイに譲渡できない権利です。

いわば著作者の魂を守る権利。

権利名称 内容 違法例
公表権 未公表の著作物をいつ、どのような形で公表するのか、あるいは公表しないのかを決定できる権利 集英社(共同著作とする)が尾田栄一郎先生の新作を勝手にジャンプに載せた
氏名表示権 著作物を公表する時、どのような著作者名を表示するのか、あるいは匿名するのか決定できる権利 佐村河内守氏が曲の発表をするときに無断でゴーストライター(作曲者)の名前を明かした
同一性保持権 著作物の内容や題名を自分の意志に反して、勝手に改変されない権利 作詞作曲をギターが担当したのに、ライブでボーカルが勝手に曲名を変えて紹介した

このように著作権者には無い、作品の根幹をしっかりと握るのが著作人格権。

 

一点補足。

氏名表示権の違法例でゴーストライターを出していますが微妙です。

ゴーストライター自体が社会的にあまり認められていないので専門家でも意見が割れるでしょう笑

ただ、名前を出すなと言ってる著作者の名前を出すことは一般的にはアウトです。匿名希望は守られるべきなのです。

 

 

 


 

まとめ

すみません。かなり長くなってしまいました。

 

著作者として大事なポイントは以下。

・著作者の魂は、著作人格権でゼッタイ守られる。

・著作権は譲渡でき、著作権を持つものは著作権者となり、侵害された場合は訴えることが出来る。

・訴え方は、民事または刑事、あるいはその両方。場合によっては、著作者の意志に関係なく国が動くこともある。

 

 

著作物の利用者が注意すべき点は、上記の逆。

・著作者の意志に反して、改変したり、氏名を変えたり、公表するのは、ダメ!たとえ著作権者でも。

・著作権を侵害した場合には、著作権者の意志によって訴えられることがある。(親告罪)

・訴えられ方は、民事または刑事、あるいはその両方。場合によっては、非親告罪として国に処罰される。

 

 

長かったですが、これらのポイントを理解してしまえば、

著作者・著作権者として著作物の正しい運用ができます。

利用者側で言えば、著作者・著作権者に迷惑をかけない範囲の間合いを取りやすくなります。

 

 

著作権は親告罪ということもあり、かなりモラルに依存します。

「これやったら相手は怒らんだろうか」「迷惑にならんだろうか」

「みんながこれやったら社会が崩壊せんだろうか」

そんなことを考えれば、著作権について理解しやすくなります。

 

 

 

次回は著作権についての概要・総まとめ!

著作物を扱う際のチャートを作ってみます!

そして次々回から超実用的なケーススタディ。

 

難しいテーマですが、読んであげてください。

いや、必要になったら読んでください。もしくは必要そうな人にこのシリーズを教えてあげてください。

今の10代20代はナチュラルにネット上で発信したり、創作したものを発表したり加工したりするので、ホントに知っておいた方が良いと思います。

 

もしご興味があれば、楽しく学べる著作権ワークショップも開催できるのでお声掛けください。

 

この記事を書いた人

岡坂 遼太おかさか・りょうた/理事長
新温泉町出身、在住。
大学進学で東京へ行き、理系の大学なのになぜかメディアアートや広告を勉強する。卒業後、帰ってきてNPO法人あっと但馬を立ち上げた。
ブログではネット活用をメインにアイデアの種や地域活性化の種をバラまき続けている。
趣味が多い。マウンテンバイクなどのアウトドアから陶磁器集めなどのインドアまで幅広いので、ブログのネタにしたいけど読者に求められていないので控えている。
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One thought on “これで安心!ブロガーもクリエイターも得する著作権の考え方(後編)

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